原著論文で業績を作る

アクセプトまでの流れ(論文投稿Q&A)

著者の皆さんが、投稿を考え始めた時からアクセプト後にいたるまでの様々な局面で直面する疑問に、Q&A形式でお答えしています。
今後さらに内容を充実させていきたいと考えていますので、聞いてみたいと思うことがありましたら、日本語または英語でお寄せください。
個別にお答えすることはできませんが、多くの方々に共通すると思われる質問につきましては、この問答集の中で順次お答えしていきます。
皆さんからの多くの質問をお待ちしています。

STEP 1 文献検索

論文を書くために、日頃からやっておいた方がいいことがあれば教えてください。

まず、文献を読む習慣を付けることです。たとえば、PubMedにキーワードを登録しておけば、該当する論文が発行されるごとに、メールでそのタイトルとリンク先が送られてきます。あなたの専門分野の文献に加え、レベルの高い英語で書かれているNEJMなど総合医学雑誌を読んでおくことも有益です。
また、製薬メーカーや出版社などが独自に発信している文献情報もあります。中には日本語訳を提供しているコンテンツもありますので上手に利用しましょう。
(大鵬薬品では、NEJMの最新情報をオンラインで提供しています。http://briefings.jp/

病院で契約しているジャーナルの数が少なく、自分で年間購読すると費用が馬鹿にならないので、なかなか論文が読めません。

自費で年間購読するのは、確かにお金がかかりますが、PubMedで検索し、必要な文献だけオンラインのpay per viewで購入するという方法もあります。この方法ですと、論文1本あたり10~30ドル程度で入手できることが多いです。発想を変えれば、無料で入手できると思うと無差別に論文を集め、多くためてしまいがちですが、1本ずつ自分で支払えば、常に論文を精査する習慣が付き、自分の研究に焦点を当てた論文のみを集めることができます。
また、中には費用を払わなくても見ることができる、「オープンアクセスジャーナル」と呼ばれるものもあります。最近の情報を得るには費用がかかるジャーナルが大部分ですが、出版後一定期間がたった後は、無料で公開しているジャーナルが多くみられます。参考までに、スタンフォード大学のプラットフォーム「HighWire」のリンク集をご紹介します。

http://highwire.stanford.edu/lists/freeart.dtl

文献の情報を手軽に知りたいのですが。

主要なジャーナルでは、購読していない読者に対してもEメールやRSSフィードによるアラートを備えていることが多いです。
また、PubMedでも同様のサービスがあり、特定のトピックの情報を集めるのに極めて便利です。
前述のように、日本の製薬会社などは様々な日本語での情報を提供していますので、必要に応じて利用するとよいでしょう。

PubMedの使い方がよくわからないのですが。

PubMedは使いこなせれば極めて有用なツールです。
検索では、通常の語句検索に加え、ジャーナル、発行時期の指定はもちろん、研究のトピック、研究デザインでも絞込みができます。また、EメールのアラートやRSSフィードの機能もあります。これまで検索だけで使っていた方も、いろいろな機能を試してみてはいかがでしょうか。PubMed を活用することで、文献検索の範囲が広がり、文献検索が楽しくなると思います。
なおPubMedの利用法については、日本語のサイトや書籍もありますので、必要に応じてご参照ください。

インターネットで情報検索をかけると、たくさん引っかかってくるのでなかなか欲しい情報が手に入りません。Google検索をうまく使って、よりよい情報を入手する方法はありますか?

では、以下にいくつか実践的なテクニックを紹介します。

(1) フレーズ検索

例えば「perinatal complications(周産期合併症)」について調べたいときに、普通に検索すると「perinatal」と「complications」がバラバラにhitして、あなたが探している情報はほとんど見つからない可能性があります。
このような場合は、調べたいフレーズを塊にして引用符で囲み、 “diabetes of pregnancy” または “prenatal complications”として検索を行うとよいでしょう。
これでこの文字列があるサイトしかhitしなくなり、より自分の欲しい情報に近づくことができます。

(2) ドメイン内検索

検索をかけてみましたが、個人のブログばかりが出てきて、その情報を信用していいのか判断ができないということがよくあります。そんな場合は、検索の対象にするウェブサイトを絞ります。

ウェブサイトのアドレスの後半(ドメイン名といいます)は、サイト運営者の種類によって決まっています。
医学、 医療に関連するのは、go.jp:日本の政府機関(厚労省など)、ac.jp:大学等教育機関(大学病院)あたりではないでしょうか。 これを検索ワードに追加します。
例えば、「ティーエスワン go.jp」とすることで、国が出しているティーエスワンの情報に絞って検索することができます。

STEP 2 ターゲットジャーナルの決定

研究がまとまりそうなので、少しでもレベルの高いジャーナルに載せたいのですが。

ScienceやNatureに自分の論文を載せるのは研究者にとっては大きな栄誉ですが、 リジェクトされる割合が高く、そのような一流のジャーナルからの返事は早いとはいえ、その分の時間を無駄にしてしまうことになりかねませんので、投稿前に十分に入念な計画を立てておかなければなりません。

リジェクトされた場合、次にどのジャーナルに投稿するか決めるには、上司や同僚に相談をして助言を受けたり、また自分でも専門分野のジャーナルを実際に読んだ上で判断することが大切です。

また、ジャーナルの選択に有用な他の情報も集めておきましょう。(例えば、一般にインパクトファクターが高いジャーナルほど、比較的採否の返事が早いものですが、その場合50%以上は査読員からのコメントはもらえない可能性がある、など)。

志は大きく、メジャーなジャーナルに投稿することにしましたが、実際問題アクセプトされる確率は低いと思います。時間を無駄にしたくないので、アクセプトしてもらえそうなジャーナルにも投稿して、もし両方のジャーナルからアクセプトされた場合は、レベルの低い方のジャーナルの投稿を取り下げればよいでしょうか?

こうした行為は二重投稿(duplicate submission)といって、堅く禁じられています。
一般的には多くのジャーナルの投稿規定に禁止が明記されていますが、仮に明記されていない場合でも、倫理的に許されるものではありません。さらにもし両方のジャーナルに掲載されてしまった場合、その分野の研究に深刻な悪影響を与えてしまうことにもなります。具体的な例を挙げますと、1つ目のジャーナルにアクセプトされた後、2つ目のジャーナルに対して取り下げ手続きを忘れてしまうと後々深刻な問題を引き起す恐れがあり、自身のキャリアにも極めて重大な結果をもたらすことになります。第一に、ジャーナル、編集委員会、査読員、読者は皆、論文が当然初めて掲載されたものと思って読みます。ですから、同じ論文を2つのジャーナルに掲載したり掲載を試みたりする著者は極めて未熟だとみなされ、また2番目のジャーナルに取り下げの依頼をする場合も、片方のジャーナルの査読員の時間を無駄にしたことになるので、それがよほど適切な理由でない限り、ジャーナル側は非常に疑わしいとして、あなたが将来そのジャーナルに投稿する際に不利になることが十分に考えられます。
また、掲載に向けた戦略は綿密に立てることが非常に大切で、掲載を目指して投稿する原稿の全体または一部が重複して投稿されているのではないかという疑念を持たれることのないよう、細心の注意を払う必要があります。

二重出版、剽窃、自己剽窃について、詳しくは本サイトコンテンツ「CHEST誌よりMedical Writing Tips」の以下の項目をご参照ください。

http://www.ronbun.jp/chest/popup031/index.html

(「生物医学出版における倫理的・法的指針について」by Stacy L. Christiansen, MA)

http://www.ronbun.jp/chest/popup024/index.html

(「剽窃(盗用)」by Lisa Cicutto, RN, PhD)

原著論文(Original research paper)以外にも短報/速報(Short/Rapid communications)、編集長への手紙(Letters to the Editor)などがありますが、どのような違いがありますか?

原稿の種類はターゲットジャーナルの投稿規定に定められているルールに沿ったものでなければなりません。まず原稿の構造や内容によって分けられ、一般的に、原稿の種類ごとに著者数、語数、図表や参考文献の数などが定められています。実際に投稿を考える場合は、初めにターゲットジャーナルの規定を必ず確認してください。

それでは、一般的な医学論文の種類について、以下に簡単に説明をします。

  • 原著論文(Original research papers):新たな知見について報告するもので、特に臨床への影響をDiscussionの最初と最後の部分で強調する。
  • 症例報告(Case reports):通常1例から数例の治療経過に関する報告。一般的に症例報告は他のジャーナルからの引用回数が少なく、ジャーナルのインパクトファクターを下げてしまいがちなため、ジャーナルからはあまり歓迎されない。大部分のジャーナルでは実臨床に影響を及ぼす症例報告のみ掲載を検討する。つまり症例がただ珍しいというだけでは不十分で、臨床的に重要な意味を持つものでなければならない。
  • 短報/速報(Short/Rapid communications):限られた情報についての短い報告だが、早期に掲載する重要度が高いもの。
  • 総説(Review papers):他の研究なども含め幅広い内容を解説したもの。特別に総説の執筆を依頼された場合以外は、そのトピックに関する総説原稿を投稿してよいかジャーナルの編集長と相談するのがベストである。
  • 編集長への手紙(Letters to the Editor):通常、最新の研究結果の簡潔な報告。同じジャーナルの前号に掲載された論文に対するコメントがこの形式で掲載されることもある。
日本語で論文を書いて国内誌に掲載されましたが、思いのほか反響が大きく、英訳して海外誌に投稿するよう奨められました。でも、これは二重出版に関する規則で禁じられているのではありませんか?

所定の条件を満たしていれば、同様の結果を別のジャーナルで二次出版を行うことが可能です。International Committee of Medical Journal Editors(ICMJE, 国際医学ジャーナル編集者委員会)のRecommendations for the Conduct, Reporting, Editing, and Publication of Scholarly Work in Medical Journals のIII.D.3. でも、 Acceptable Secondary Publicationとして明確に容認されています(http://www.icmje.org/recommendations/browse/publishing-and-editorial-issues/overlapping-publications.html)。
むしろ自分の研究結果を世界に知らしめるチャンスですから、必ず指定された条件をすべて満たした上で、是非チャレンジしてみることをお勧めします。
なお、論文の英訳については、STEP 5の「翻訳・ネイティブチェック」の項をご参照ください。

リジェクトされた論文を、別のジャーナルに投稿しようと思います。どのように選んだらいいでしょうか?

残念ながらリジェクトされてしまった場合、よりメジャーなジャーナルに投稿することは現実的な戦略ではありません。したがって投稿先のランクを落とすことになりますが、ただ単にマイナーな雑誌にしてしまうのは得策とはいえません。掲載の確率を高め、かつ論文の価値を落とさないためにも、投稿先の分野、領域をよく吟味することが重要です。
もし掲載を望む専門領域がはっきりわかっていれば問題はありませんが、そうでなければPubMedに自分の論文のキーワードを入力して、どんな雑誌が最も頻繁にhitするかを見てみるのもよいでしょう。

詳しくは本サイトコンテンツ「CHEST誌よりMedical Writing Tips」の以下の項目も、是非ご一読ください。

http://www.ronbun.jp/chest/popup033/index.html

(「原稿がリジェクトされた時の対処法」by Karen L. Woolley, PhD; and J. Patrick Barron, BA)

http://www.ronbun.jp/chest/popup020/index.html

(「あなたの原稿にふさわしいジャーナルを選ぶには」by Philip J. Thompson, MB BS, FCCP)

リジェクトされたので別のジャーナルに投稿しようと思いますが、またはじめから投稿規定を読んで原稿を修正するのは、とても大変そうです。どのようにするのがベストでしょうか?

ジャーナルからの手紙の中には、一見リジェクトのように見えて、実は書き直して再投稿できる可能性が残されているものがあります。再投稿の可能性がまったくないかどうか、確認してください。

しかしながら、もしジャーナルや編集長が、”your paper does not have sufficient priority”または “the rank is not sufficiently high” または “you would be better submit to another type of journal” と書いている場合は、査読員からのコメントが添えられていたとしても、同じジャーナルで掲載が再検討される可能性はないと考えた方がよいでしょう。
ジャーナルからの返信の手紙の文章に “priority”, “rank”, “another type of journal” といった語が入っている場合には、あなたとジャーナルのスタッフ両者の時間を無駄にしないためにも、別のジャーナルに投稿するべきです。
ただ、もし編集長が、例えば「被験者やサンプルの数を増やせば、など一定の条件を満たせば論文の再評価をする可能性がある」と書いている場合は、是非それらの条件を満たすよう努力して再投稿することをお勧めします。

さて、別のジャーナルに投稿することになり、新しいジャーナルの投稿規定に合わせて論文の書き直しを行う場合は、プロの英文校閲会社に依頼することもできます。
なじみの業者があれば訊ねてみるか、同僚の先生などから信頼できる会社を教えてもらうとよいでしょう。
業者に依頼するときのコツなどについては、STEP 5の「翻訳・ネイティブチェック」の項をご参照ください。 こうした第三者(業者やメディカルライター)の助けを借りた場合には、謝辞に記載することを忘れないようにしましょう。できれば、いつも決まった医学リライターに校閲をしてもらうことができれば、あなたの研究の進捗状況を把握し、それをどのように書き直せばよいかわかってもらえるのでベストです。

STEP 3 投稿規定の調査

投稿規定で決められていることは何ですか?その特徴は?

投稿規定では、主に以下のようなことが取り決められています。

  • ・著者と出版社の権利
  • ・投稿できる記事の種類
  • ・原稿の体裁、書式に関するルール

投稿規定の最も大きな特徴は、ジャーナルごとに違うということです。投稿規定によって執筆方法が大きく変わってきますので、原稿を書き始める前に徹底的に読んでおく必要があります。また、投稿した論文がリジェクトされて、別のジャーナルに投稿し直す場合には、必ず新しいジャーナルの投稿規定を読み、それに合わせて書き直さなければなりません。

投稿規定は小さな文字でぎっしり難しい英語で書かれているのでわかりにくい上に、どこにあるのかもわかりません。どうしたら見つけることができますか?

確かに各ジャーナルのウェブサイトは構成も様々ですし、投稿規定の名称も異なるので(例:NEJMはInformation for Authors、NatureはFormatting Guideなど)、見つけるのが難しいかもしれません。
そこで、是非本サイト内の「投稿規定チェックリストとリンク」コーナーをご活用ください。主要なジャーナルの投稿規定の特徴の概要を、日本語で紹介しています。

http://ronbun.jp/checklist/index.html

同じ原稿を別のジャーナルに再投稿するたびに全面的に書き直すのは大変です。
修正を最小限にするにはどうしたらよいでしょうか?

面倒でも、やはり再投稿するジャーナルの投稿規定にしたがって原稿を書き直すことが不可欠です。
方法としては、実際にそのジャーナルに掲載された最近の論文を読むのが一番確実です。たとえばReferenceの書き方はそっくりそのままそのジャーナルのスタイルを真似てしまえばいいでしょう。(EndNoteなどのソフトウェアを使えば時間の節約になりますが、Referencesのデータベースに入れる元データは正確に入力しなければなりません。)またあなたが、投稿しようとしているジャーナルのフォーマットを理解しているということが伝わるような書き方をするようにしましょう。

ターゲットジャーナルに以前に掲載された、あなたと同じ専門分野の他の人の論文を書き直すという練習は、時間もかかりますし退屈な作業ですが、ジャーナルのスタイルを習得するには効果的な方法です。具体的な方法について詳しくは、STEP4のQ&A.「英語で論文を書くのは初めてです。何をお手本にしたらよいでしょうか?論文を自力で書けるようになる方法はありますか?」をご参照ください。

語数を合わせるのにいつも苦労しているのですが。

常に語数を意識して書くのは非常に難しいので、まずは論文全体を執筆し、その後に語数を減らす方がよいでしょう。抄録も同様に、本文を完成させてから書くことをお勧めします。そして最後にジャーナルが定めている数のキーワードを選びましょう。

キーワードはどのように選べばいいですか?

原稿ができあがってから決めます。
その際、なるべくタイトルに入っていないキーワードを選ぶこと。そうすることで、インターネット検索でhitする機会を最大にすることができます。

ずっと投稿規定とにらめっこしながら修正していくのは大変です。
もっとも効率のよい方法は何でしょうか?

身近な例を挙げますと、携帯電話を新しくした時に、分厚いマニュアルを見ながら使い方を覚えるよりも、実際に使っている人に聞いた方が理解は早いでしょう。
同様に、実際に既にそのジャーナルに掲載されている同じ分野の論文から多くのことを学ぶことができます。
抄録や本文の語数制限などについては投稿規定をチェックする必要がありますが、基本的な構造(研究の背景、目的 (Research Question)、方法、結果、考察、結論など)やReferenceの書き方は、論文そのものを見ればすぐにつかむことができます。

STEP 4 執筆

英語が苦手なので、論文を書くのが大変です。

独力で英語論文を書き上げるのは、執筆経験がかなりある人にとっても、きわめて難しいことです。
ただ、以前は辞書だけを頼りに書かなければいけなかったため大変な苦労を伴いましたが、現在では多くの情報源があるので、執筆の際参考にすることができるでしょう。例えばその中の1つ、PubMedから多くの論文をダウンロードし、論文の構成や書き方を学ぶ際の参考資料として使うというのも1つの方法です。

また、予算が許せば、翻訳や校閲専門の会社を利用するのもよいでしょう。ただその場合には、倫理的指針がしっかりしているところを選ぶようにしましょう。
これについては、STEP 5の「翻訳・ネイティブチェック」の項をご参照ください。

また、文献を適切に引用するためには、オリジナルから慎重に参考文献をコピーし、データが正確に入力されたかどうかを確認した上で、EndNoteを使うことをお勧めします。参考文献を引用する際は、別の論文で引用されているものを使用する(孫引きをする)のではなく、必ず原著論文から直接データを入力するようにしてください。

英語で科学論文を執筆する方法を扱った本はたくさんありますが、どの本がいいのか、どのように見極めたらいいのかわかりません。何かいい方法はありますか?

論文執筆能力の向上には、ジャーナルに既に掲載されている論文を参考にするのが、一番の近道です。
しかし、全体のプロセスや、執筆のコツなどについては、書籍で情報を得るのもよいでしょう。選び方としては、具体的なTipsがたくさん載っているものが役に立つと思います。 例えば、洋書(英語)では、Thomas A. Lang著の "How to Write, Publish, & Present in the Health Sciences" がお薦めです。
執筆前の準備、論文の書き方、国際学会での発表ほか、国際医学コミュニケーションのために必要な情報が網羅されています。これは、朝倉書店から『トム・ラングの医学論文「執筆・出版・発表」実践ガイド』として翻訳版も出版されています。

英語で論文を書くのは初めてです。何をお手本にしたらよいでしょうか?
論文を自力で書けるようになる方法はありますか?

研究進めていく中で、多くの論文に目を通されているはずです。折角ですから、書き方もそれらの論文を参考にするとよいでしょう。
時間はかかりますが、自分自身で論文の書き方を身につける効果的な方法の1つをご紹介しましょう。まずあなたが掲載を狙っているジャーナルの中で興味のある論文を見つけます。
全体を読んだ後、Introductionからもう一度1つのセクションずつ読み、日本語か英語でメモを取っていきます。その後、原文を見ずにあなたの書いたメモだけを見ながら、Introductionを原文とできる限り同じように書いてみましょう。この作業を、Materials and Methods, Results, Discussionと繰り返していきます。
当然のことですが、Discussionセクションが最も難しく、最も時間がかかるでしょうが、上手に書かれたDiscussionセクションのまとめ方を学ぶことができるという意味で、非常にやりがいがあります。この方法を使って、いくつかの論文を書き直す練習をすれば、フォーマットが理由でそのジャーナルからリジェクトされない論文の書き方を確実に身につけることができるでしょう。ジャーナルの書き直しは、時間と手間がかかりますが、論文執筆の基礎固めに最適で、やればやるだけよい結果が期待できます。

著者(Author)にはどの人まで含めたらいいですか?

まずターゲットジャーナルの投稿規定で著者資格(Authorship)について確認してください。
例えばNEJMなど多くのジャーナルの投稿規定には、著者はICMJEのRecommendations (旧投稿規定:Uniform Requirements)に従って、論文の執筆に際し、以下の3つすべてのステップに関与していなければならない、としています。

  • A)研究のデザイン、データ、解析、解釈 をおこなっていること
  • B)原稿の執筆と、原稿の内容への知的な貢献を行っていること
  • C)ゲラ刷りを校正し、必要に応じて書き直し、論文全体の内容に合意していること

既に述べたように、著者はこれら3つの条件すべてを満たしていなければなりません。さらに 各著者がこれらを確認し署名した文書を取得しておく必要があります。著者全員が論文の内容に具体的に貢献し、論文に責任を持つことが大切です。

もう1つ注意が必要なのは、既に述べた3つの条件すべてを満たしていない人達は、著者には該当しませんが、本文と参考文献の間の「謝辞」のセクションに記載しなければならないということです。謝辞には、その論文の作成に貢献したすべての人達、すなわち校閲者、リライター、技術的な支援をしてくれた人や事務作業を手伝ってくれた人達までも含めることが大切です。

Authorshipについては、「CHEST誌より英語論文投稿のコツ」の以下の記事も是非参考になさってください。

http://www.ronbun.jp/chest/popup022/index.html

(「オーサーシップの責任」by William M. Vollmer, PhD)

論文投稿時に添付するカバーレターをどう書いたらいいかわからないのですが。

本サイトの中に「カバーレターサンプル集」がありますので是非ご活用ください。

http://www.ronbun.jp/cover/index.html

自分自身の投稿論文の査読をする査読員を推薦することはできますか?

はい、是非、カバーレターの中で推薦することをお勧めします。(推薦する際の英文は、本サイト内のカバーレターサンプル集をご覧下さい。)

大部分のジャーナルは査読員の推薦を歓迎します。国際学会などで出会った人達の中からあなたの研究内容を知っている3~5名の査読員候補を挙げましょう。その際、氏名だけでなく、所属、肩書、電話番号、ファクス番号、eメールアドレスも忘れずに記載してください。
有名な先生方は多忙で査読をする時間が取れないことが多いので、現場で実際に研究に携わっている30~40歳の若手研究者を推薦するのがベストです。

また逆に、あなたの論文をどうしても査読してほしくない人がいる場合には、カバーレターの中でその旨を記載することができます。その場合は、その理由、例えば「国際学会などで大きな意見の隔たりがあり、客観的な査読を受けられない可能性がある」といった具体的な理由を記載することが必須です。
ただし査読員を最終的に選択する権限は雑誌にあります。

抄録を規定の語数以内で書くコツを身につけるにはどうすればよいでしょうか?

抄録は短いため、書くのはたいへん難しいです。
1つの方法として、研究のポイントを自分の中でまとめてみることをお勧めします。論文の基本的な構成に沿って、なぜそれを行ったのか、どのようにして行ったのか、その結果何がわかったのか、をできる限りシンプルに書くことです。
もう1つの方法は、単調な文にはなってしまいますが、簡単な文体で書くということです。主語+動詞+目的語という文体で書けば、おのずと最小限の語数で済むはずです。

学会用の抄録の書き方については、本サイト「英語論文投稿のコツ」コーナーの記事を是非ご一読ください。

http://www.ronbun.jp/chest/popup030/index.html

(「学会用抄録:短くても効果は抜群」(by MaryAnn Foote, PhD)

Discussion(考察)セクションには何を書けばよいのでしょうか?
得られたデータは既に「結果」にすべて記載しています。何をつけ加えればよいですか?

Discussionセクションの最大の役割は、Introductionで提起し、その研究で解決しようとしたResearch Questionに対してどのような結果が得られたかを説明することです。したがって、不要な繰り返しを避け、導きだされた結果(Results)に対し、自分の仮説と比べてどうであったか、同じ分野の既存の研究と比べてどうであったかを示し、あなたの論文の重要性を明らかにすることです。Resultsに記載していない追加のデータを加えるのは避けるべきです。

Discussionの書き方については、本サイトコンテンツ「CHEST誌よりMedical Writing Tips」の以下の項目を参考になさってください。

http://www.ronbun.jp/chest/popup034/index.html

(「論より証拠 Results(結果)の報告の仕方と優れたDiscussion(議論)の書き方について」by MaryAnn Foote, PhD)

Discussionセクションをより理解してもらうため、例えば "We set out to determine whether……" という文から書き始めるのもよいでしょう。覚えておいてほしいのは、多くの査読員が査読を行うのは一日の仕事が終わった後で、疲れている可能性が高いため、あなたの論点をできる限り明快にすべきである、ということです。したがって、Research Question はIntroductionの中だけでなくDiscussionの文頭とConclusionの最後の文にも入れて論文全体の意義をより鮮明にし、査読員に良い印象を与えるようにしましょう。決してDiscussionを総論や背景から書き始めないことが大切です。

図表はどのように作ればよいでしょうか?

もし、ある論文の内容を3分間で理解するとしたらどうしますか?おそらく初めに図表だけを見るでしょう。したがって図表の作成にあたっては、以下のような点に気をつけてください。

  • (1) 図表は、研究内容と完全に一致していること
  • (2) 本文を参照せず図表だけを見て研究の内容がわかるようにすること
  • (3) 結果に含まれていないことを図表に入れないこと
  • (4) 事前に投稿規定で許容される図表の数と大きさを確認しておくこと
  • (5) 必ず(本文だけでなく図表も)他の人に見てもらうこと

詳しくは、本サイトの「CHEST誌よりMedical Writing Tips」の中の次の記事も是非ご参照ください。

http://www.ronbun.jp/chest/popup007/index.html

(「グラフ」by Joseph Green, DMSc)

全角文字と半角文字の違いは何でしょうか?

基本的に、全角文字は日本語、中国語、韓国語のために開発された文字セットで、英数字には半角文字を使用します。入力時にはさほど気にならないかもしれませんが、以下のように並べてみるとその違いは一目瞭然です。

全角:The Computation of accurate alignments of cDNA sequences against...

半角:The computation of accurate alignments of cDNA sequences against...

最近は、全角文字でアルファベットを入力しても、文字化けが生じることは比較的少なくなったようですが、全角文字はあくまで日本語を表示するためのものであり、ネイティブスピーカーの目には奇異に映ります。原稿を受け取ったエディターや査読員には受け入れがたいものであり、それによって査読員に余計なストレスを与えてしまうことになります。また、全角文字を使用すると、MS Wordのスペルチェックが適切に機能しないことも起こりえます。

したがって、やはり正当な論文にはTimes New RomanやCenturyなど半角のアルファベットのフォントを用いるのがベストです(念のため、事前にターゲットジャーナルの投稿規定も必ずチェックしてください)。

数字をスペルアウトしなければいけないのは、どのような場合ですか?

一般的に、以下のようなルールがあります。

1) 数字が文頭にくる場合はスペルアウトします。

例:Twenty-two patients received...

ただし、Lancet誌の場合は文頭であってもアラビア数字を用います。

もし文頭で数字のスペルアウトが長くなってしまう場合は、わかりにくくなるので、それを避けてアラビア数字で表記するため、”A total of” といった句を使う方法もあります。

例:One thousand three hundred fifty-four patients… → A total of 1,354 patients…

2) 本文中では通常1桁の数字もスペルアウトします。ただし、現行のAMA Manual of Style第10版では、アラビア数字を用いてもよいとの記載があります。また上述のようにLancet誌は、数字の位置や桁数にかかわらずアラビア数字を好みます。
3) 単位がついている場合はアラビア数字を用います。

例:1 mg, 25 ml, 51%, 37℃
(%と℃以外は数字と単位の間に必ず半角スペースを1つ入れることを忘れずに)

4) 図表の番号にはアラビア数字を用います。

例:Table 1、Day 14

日常会話すらなかなか覚束ないのに、格調高い英語で論文執筆なんてとても無理です。

科学的な論文を書く時には気取った文体で書く必要はありません。文法的には高校2年生レベルでおそらく十分です。それよりも重要なのは、シンプルにわかりやすく書くということです。つまり読みやすい、ということが重要なのです。
能動態(例:”was performed”ではなく”we performed”を使う)や主語+動詞+目的語(SVOの文型)を用いて単純な構造の文にし、あまり多くのことを1つの文に盛り込まないようにしてください。これは非ネイティブの皆さんだけでなく、ネイティブの執筆者にも求められていることなのです。約1世紀前の1918年にWilliam Strunkが述べた”Omit Needless Words.”という格言を心に留めておきましょう。

参考にした論文から引用してもよいのでしょうか?

引用したことがはっきりわかるようにすれば、他の文献から引用することは全く問題ありません。しかし、極力自分の言葉で書く方がよいでしょう。あなたが引用しようとするのは、IntroductionやDiscussionからが多いと思いますが、ここを自分で整理をつけながら書くことができれば、読者により強いインパクトを与えることができ、あなたにとって有利に働きます。もちろん、参考文献のリストの中から直接引用しなくても、あなたが読み着想を得たものは、参考文献(Reference)リストに含めることが絶対に必要です。

これは、あなた自身が以前にジャーナルに発表した論文を引用する際も同様です。なぜなら通常一度掲載された論文の著作権はジャーナルにありますので、自分の書いた論文といえども参考文献に入れずに使用すると、自己剽窃(self-plagiarism)とみなされる恐れがあるからです。そのような場合は、別の言い回しを使って書くようにしましょう。

また、あなたがカバーレターの中で査読員になってくれそうな人達を推薦する場合には、彼らの論文を忘れずに参考文献のリストに入れるようにしましょう。カバーレターは論文投稿をする際の重要な一部だと考えることが大切です。

なお、参考文献については、本サイト内の「CHEST誌より英語論文投稿のコツ」の以下の記事も是非ご一読ください。

http://www.ronbun.jp/chest/popup026/index.html

(「オンラインの文献を引用する」by Jean Rice, BA)

http://www.ronbun.jp/chest/popup018/index.html

(「なぜ参考文献が必要なのか」by MaryAnn Foote, PhD)

STEP 5 翻訳・ネイティブチェック

自分の書いた論文は、たぶん意味は通じているだろうと思います。ネイティブの校閲者にチェックしてもらうのは時間も費用もかかるので、このまま投稿してしまった方が早いし簡単な気がするのですが。

意味がだいたい通ってはいても、ネイティブの大部分が5歳か6歳までには知っている、スペルミスやスペースの間違いなどの単純なミスをすると、あなたが思っている以上に査読員にネガティブな印象を与え、リジェクトにつながりかねません。文法的な間違いがあったり、文章がわかりにくいと、忙しい査読員に余分なストレスを与え、論文評価の際、大きなマイナス要素になってしまいます。
さらに、もし解釈不可能な箇所があった場合も、リジェクトという結果に直結するでしょう。また、たとえあなたの研究内容が素晴らしく、論文がアクセプトされた場合でも、それが稚拙な英語で書かれた論文として残ってしまうのはとても残念なことではないでしょうか。
ですから、是非投稿前には医薬を専門とするネイティブにチェックしてもらうことをお勧めします。

知り合いの英語が得意な人に原稿を見てもらったのですが、これで投稿しても大丈夫でしょうか?

英語が得意、というだけでは科学論文の校閲をするには不十分な可能性があります。医学に限らず、各分野にはそれぞれの決まった表現や言い回しが数多くあるものです。
もしあなたの英語を直してくれた人に医学分野の知識があればよいでしょうが、そうでなければ医学分野で使われる表現などに精通した医学専門の校閲者に見てもらう方がよいと思います。

うまい翻訳や校閲をしてくれる会社や個人はどうやって探したらよいですか?
また、費用はどれくらいかかりますか?

校閲会社には、それぞれ専門の分野があります。医学論文は特に専門性の高いものですので、医学分野の校閲で評判のよい会社に依頼するのがよいでしょう。料金はほとんどの場合ホームページに記載されていて、同様の作業に対しては同程度の料金設定がされています。またあなたの論文の1,2ページをサンプルとして送れば、全体額の見積もりを取ることも可能です。費用はどの程度まで依頼するかによって大きく異なりますので、本文のみ校閲してほしいのか、参考文献のチェックを頼むのか、図表のレイアウトをやり直してほしいのか、などこちらの希望を詳しく伝え、項目ごとの見積もりを取るようにしましょう。また校閲会社やフリーランスの校閲者によっては、ピアレビュープロセスを含め論文の掲載に至るまでの総額を提示しているところもありますので、料金体系もきちんと確認しておきましょう。

さらに、もしあなたがある会社に校閲を依頼し、その結果に満足し、別の論文の校閲を依頼したいという場合、あなたの前の論文を校閲してくれた人にまた校閲を依頼できるのかどうかをはっきり尋ねておくとよいでしょう。

良心的な校閲者の多くは、論文の内容に疑問を持つものです。そうした場合、その会社が校閲者からあなたへの質問にどのように対処してくれるかも正確に把握しておきましょう。校閲者が疑問に思う点は、おそらくターゲットジャーナルの査読員も疑問を持つことが予想されますので、校閲者とのやりとりの中でそうした点を解決し、原稿に反映させてから投稿するのが賢明といえます。

校閲・翻訳会社を利用する場合には、料金体系が明快かつ適切かだけでなく、全体的に著者の立場に立ったサービスを提供してくれるかどうかを見極めてから依頼するのが重要だと思います。

予算がないので最小限の校閲を依頼したいと思います。
どのようなポイントを重点的に見てもらえばよいでしょうか?

まずはどこが自分の弱点なのか、どこを直してもらうのが重要なのかをよく検討してみましょう。例えば、文法に自信がないので、文法を徹底的に見直してほしいのか、全体に意味が通っているかを客観的に見てほしいのか、などです。
また、予算がないからといって、インターネットなどの無料または安価な機械翻訳は使用しないでください。大部分の機械翻訳は理解不能かつ無意味で、現在のところ、お勧めできるプログラムはありません。

日本語で書いた論文を自分で英訳し始めましたが、思いのほか時間がかかり、どう書いていいかわからない部分も出てきました。この状態で翻訳会社に依頼することは可能でしょうか?

基本的には可能です。品質を重視する会社なら、あなたが英語で書いた部分を読み、その英語を添削した上で、残りの部分も前の部分と統一感が出るように翻訳してくれるはずです。したがって、あなたが既に全体の3分の2を翻訳し、未訳の部分が3分の1だからといって、費用が3分の1になるわけではありませんので注意が必要です。

投稿のタイムリミットや翻訳者や校閲者の能力や質も非常に重要です。場合によっては、翻訳原稿ができた後、ネイティブの医学専門の校閲者に論文をチェックしてもらうことが必要かもしれません。もしあなたがいつも同じフリーランスの翻訳者/校閲者に依頼している場合は、おそらく常に一定の出来上がりを期待することができるので安心かもしれません。
なお翻訳者や校閲者は、日本医学英語教育学会の「日本医学英語教育学会誌」、日本医学教育学会の「医学教育」を参考にされるのもよいでしょう。

翻訳会社に英訳を依頼したら、「翻訳をする上で参考になる資料があれば下さい」と言われました。どのようなものを渡したらよいでしょうか?

あなたが研究をする上で読み、参考文献として使用した文献が一番です。ターゲットジャーナルやテーマが同じであれば、なおよいでしょう。
さらに、同じ分野で過去にあなたが執筆しアクセプトされた論文があれば、それらも渡すと翻訳者や校閲者にとって非常に役に立つと思います。こうした資料を提供すれば、翻訳が早く仕上がるだけでなく、出来上がりの英文の質がよくなることも期待できますので、適切な情報を素早く提供するメリットは大きいといえます。

翻訳会社に英訳してもらいましたが、納得が行かない箇所があります。自分で手直しをするのも不安ですが、どうすればよいでしょうか?

すぐにその翻訳会社に連絡を取るのがベストです。
論文のこの部分はこういう意味であるとか、この特定の表現を使ってほしい、ということを明確に伝えましょう。 良い結果を出したいと願っている翻訳会社は、その分野の専門家の方が自分達よりも専門用語について深い知識があることを知っていますので、たぶんその部分を書き直してくれるでしょう。
もちろん、あなたの所属する施設内に翻訳や校閲サービスを行う部署があり、翻訳や校閲をしている人達とじかに会って、あなたが伝えようとしていることをどのように表現するのが最適かを話し合うことができれば、きわめて効果的かつ理想的です。

STEP 6 投稿

PCが苦手なのでオンライン投稿は他の人にやってもらっていましたが、自分でできるようになりたいと思います。どうしたらよいでしょうか?

テキストをアップロードするのは、通常さほど難しいことではありません。順を追って必須項目を記入し、ボタンを押して原稿ファイルを選択することで先に進んでいくことができます。パスワードを求めるセクションがある場合には、初めて入力する際、以後忘れないように書き留めておくようにしましょう。
なお、グラフや表のアップロードの方法は多少難しく時間がかかることがありますので、オンライン投稿は、仕事を終えた後などの比較的時間のある時にすることをお勧めします。

本サイトの「英語論文投稿のコツ」の以下の記事も是非ご一読ください。

http://ronbun.jp/chest/popup002/index.html

(「オンライン投稿用論文の作成」by Stephen J. Welch)

http://ronbun.jp/chest/popup016/index.html

(「オンライン投稿の際によく起こる問題を避けるために」by Stephen J. Welch)

ターゲットジャーナルは、オンライン投稿しか受け付けないようです。
事前にどのような点に気をつけておけばよいでしょうか?

オンライン投稿の場合、まず原稿を含めすべての資料を電子ファイルで用意しておく必要があります。
通常は、テキストをMS Wordで作成しておけば、問題ないでしょう。ただし、図表、特に図のアップロードには特定の条件が求められることがありますので、事前に投稿規定で確認しておくことをお勧めします。
また、あなたの図をなるべく高画質でアップロードできるよう、ジャーナルが求めている条件を把握しておくことも必要です。

解像度、TIFFファイルについて教えてください。

解像度とは、画質の細かさや滑らかさを示す数値で、dpiや画素数(ピクセル)で表されます。大部分のジャーナルは、図(Figure)を誌面に掲載する際、ぼやけてしまわないよう高画質のデータを要求します。
Windowsの場合、解像度は、図を右クリックし、プロパティから確認することができます。

TIFFファイルとは、あまり耳慣れない言葉かもしれませんが、JPEG(ジェイペグ)やBMP(ビットマップ)などと同様の画像形式のひとつです。TIFFの画像はPC環境によって見え方が異なるということがあまりないのが特徴で、自分のPCでは緑だったのに掲載誌面では青になっていた、というような事態を回避できるので、印刷物で頻繁に使用されます。TIFFファイルの作成については、次のQ&A.「Figureの画質・フォーマットを投稿規定に合わせる方法」をご参照ください。

WindowsでFigureの画質やフォーマットを投稿規定に合わせる方法を教えてください。
(1) 画像のフォーマット

PC上で見ることのできる画像には、いろいろなフォーマットがあり、ファイルサイズの節約に適したものや、加工しやすいものなど目的に応じて使い分けられています。大部分のジャーナルは、高画質でPCの環境に左右されにくい画像を好み、それがTIFF(.tif)やJPEG(.jpg)が開発された理由の一つでもあります。Windowsでフォーマットを変換する場合は、Windows Picture and Fax Viewerを使うことができます。
「名前をつけて保存」で、ウインドウ下部に出る「ファイルの種類」の中から適切なものを選択して保存してください。

ここで1つ強調しておきたいことは、画像の操作は出版倫理上、適切ではないとみなされるということです。ですから、もしあなたが画像を操作してしまったという心当たりがある場合には、掲載される前に編集長に連絡を取る方がよいでしょう。

(2) 画像サイズ

画像サイズの変換には、別途ソフトウェアが必要になるかもしれません。「画像ビューア」をキーワードにインターネットで検索すれば、信頼できるよい無料ソフトが見つかるでしょう。ファイルのタイプ別の変換方法は、各ソフトのHelp機能をご参照ください。
通常、画像サイズはpixel(画素数)で表されますが、ジャ―ナルによっては1cmまたは1インチごとのドット密度の指定がある場合もありますので、投稿規定でご確認ください。

(3) 画像解像度

解像度についての説明は、上記のQ&A.「解像度、TIFFファイルについて教えてください。」をご参照ください。解像度は、あなたが使用しているソフトウェアを使って調整することも可能ですが、もともと非常に画質の荒いものの解像度を上げるには限度がありますので、ファイルサイズが大きくても高画質のものを用意しておくことが重要です。

STEP 7 投稿誌とのやりとり

英国の有名なジャーナルに1か月前に投稿しましたが、まだ返事が来ません。
連絡を取った方がよいでしょうか?

原稿受理の連絡は、通常すぐに来ることが多いですが、長いと1ヵ月程度待たされることもあるようです。
査読には通常6週間から2、3ヵ月かかりますが、投稿後4週間から6週間たっても、受理の連絡も査読結果の連絡もない場合は、現在の状況について問い合わせる丁寧なメールを送信するとよいでしょう。
また、原稿受理の連絡があった場合でも、4週間から6週間たって査読結果の連絡がない場合は、やはり編集部に確認した方がよいでしょう。

なお、本サイト内に、「ジャーナル編集部宛問い合わせメール文例集」があります。是非ご利用ください。

http://ronbun.jp/followup/index.html

査読員から、”good luck with your future submission”と書かれたメールを受け取りました。
これはリジェクトでしょうか、それともアクセプトでしょうか?

リジェクトの場合も、はっきり明言されないことがあります。しかし ”its rank is not sufficient” や ”its priority is not high enough” など “rank” や ”priority” といった語が使われている場合は完全にリジェクトされたと解釈するべきです。ただし、編集長からの手紙の中に「再投稿を検討する」ことが少しでもほのめかされていれば、是非査読員から提案された通りに原稿を修正して再投稿をしてください。

査読員に指摘されやすいポイントはどのようなものでしょうか?

論文のフォーマットに関するものを除けば、やはり一番多いのは内容についてです。あなたが主張しようとしている点をデータと共に明確に示し、十分な数の参考文献を引用してDiscussionセクションを執筆することです。言い換えれば、あなたのデータのどこをつつかれても攻撃されないように慎重に執筆することが必要です。

査読員から最も多く指摘される具体的例を1つ挙げますと、研究の限界が十分に説明されていないということです。

投稿先から論文と一緒に査読員のコメントと、改訂をするようにとの指示が戻ってきました。
これは、もうアクセプトされると考えてよいでしょうか?

少なくともリジェクトはされていないわけですから、期待するのは無理のないことだと思います。
しかし、リジェクトしないという返事が来たからもう安心というわけでは決してなく、むしろアクセプトに至るプロセスの中で非常に重要な局面を迎えていると考えるべきです。ここからの編集部とのやり取りが採否を左右しますので、最終的にアクセプトされるまで手を抜かず、すべてを慎重に進めなければなりません。

逆に言えば、非常に厳しく答えにくいコメントが並んでいる場合でも、アクセプトされる可能性があるということです。あなたの論文の重要性を理解してもらい、あなたのメッセージが査読員と究極的には読者に確実に伝わるよう、すべての質問に誠実に答え、必要に応じて適切に修正を行ってください。

査読員のコメントが皆バラバラです。1つ1つ個別に答える必要がありますか?

そのとおりです。どんなに些細な点であっても、すべての査読員のすべてのコメントに回答しなければなりません。編集部との不要なやり取りを減らすために、査読員からの最初のコメントに対して、できる限り完璧に答えることをお勧めします。

査読員とのやり取りをできるだけ減らすには、どうしたらよいでしょうか?

まず初めに、査読員からの質問や要求に、なるべく明確に答えることです。回答が明確であれば、事務局はあなたの回答は査読員からの質問に十分答えていると解釈し、早めにアクセプトしてもらえるかもしれません。英語で質問に答えるのはとても難しいことですが、編集部とのやり取りの回数を減らすためには、最初の回答が明確であればあるほどベターです。

締め切りが迫っている場合は、翻訳会社に依頼するという方法もありますが、費用がかかりますし、業者や翻訳者があなたの原著論文や査読員からのコメントの背景となる知識を持っていない可能性があるということを覚えておかなければなりません。したがって、査読員からのコメントには自分で答え、その答を校閲してもらう方が多分よいと思います。

次のQ&A.「査読員のコメントの意図がよくわからない場合は、どうすればよいですか?」もご参照ください。

査読員のコメントの意図がよくわからない場合は、どうすればよいですか?

査読員が何を言おうとしているのか、できるだけ推測してみましょう。査読員が英語のネイティブスピーカーでない可能性もあるということを覚えておかなければなりません。もし本当にコメントがどういう意味かわからない場合には、次のように返答することができます。

”Although I am not sure what comment XXX fully means, I interpret it means such and such, and in which case, my answer is so and so”.
(「コメントXXXはどのような意味かよくわからないのですが、…という意味ではないかと思います。その場合、私の答えは~です。」)

意味がよくわからない場合も、何らかの返答はするべきです。少なくとも返答する努力をしないと、査読員の専門的なコメントを無視したと受けとめられてしまうので注意が必要です。

STEP 8 掲載後

受理されてから掲載までどれくらいかかるものですか?

ジャーナルやその出版頻度などによって様々ですが、一般的にはアクセプトから4ヵ月以内には掲載されることが多いです。

別刷りは、どれくらい注文したらよいでしょうか?

一般的には、親しい人達に配布するもののほか、将来キャリアアップを目指す際、申請書類に添付するための分を少し余裕を見て発注した方がよいかもしれません。
ただ、外部の人の多くは、PDFをダウンロードしますし、知らない人にはPDFをダウンロードできることを知らせればよいので、あまり大量に注文しても余らせることになってしまうようです。

念願かなってはじめて論文がジャーナルに掲載されました。苦労して書いたので、多くの人に読んでもらえるよう(控えめに)PRしたいのですが、どうすればよいでしょうか?

最も容易にPRできる媒体は、インターネットです。是非あなたのウェブページに、日本語、英語両方で業績を掲載しましょう。あなた自身のブログがあれば、論文のタイトルを載せましょう。個人のブログでもいいですが、あなたが所属する講座のブログがあれば、それに掲載する方が、より信頼性は高まります。
ただし、図表も含めて論文全体をアップロードする場合には、版権の扱いについて規定を確認し、慎重に行うことが大切です。